　―　安徽省・黄山　―

黄山の景色は、一億年以上に渡る地殻の変動や氷河による浸食、風化によってできたもので、
「天下の名勝、黄山に集まる」とまで言われています。

文化遺産と、自然遺産との複合遺産に登録されている数少ない山です。

中国には山水画に描かれるような美しい山がたくさんあり、五岳と呼ばれる道教の聖山「泰山・衡山・嵩山・華山・恒山」、
四大名山と呼ばれる仏教の聖山「五台山・峨眉山・九華山・普陀山」があります。
しかし、こんなことも言われます。
「五岳を見てしまったら他の山なんて見れない、でも黄山を見てしまったらその五岳さえ見れない」。
それが「天下第一の名山」といわれる黄山なのです。

「黄山」の名の由来。

中国を統治した五帝の最初の帝であるとされる「黄帝（こうてい）」からだといわれます。
伝説上では、黄帝はこの山で不老不死の霊薬を飲み、仙人になったという言い伝えがあり、
また道教の創始者でもあるといわれる黄帝は、中国の漢方医学にも大きな影響を及ぼしています。

道教の聖地であり、また多くの漢詩や、絵の題材となっている地で、
日本の東山魁夷は、「あらゆる山水画の技法が、そこから生まれたことが分かる」と言っています。

黄山には「四絶（４つのすばらしいもの）」があるといわれます。

１、「松」
　　「黄山松」と呼ばれるこの地特有の松は、岩に生えているのが特徴で、厳しい環境に対応できるように変異したといわれます。
２、「石」
　　巨大な石が多くあり、それも、どこからか飛んできたような形の「飛来石」と名づけられたものもあります。
３、「雲海」
　　黄山では一年中見られる現象ですが、特に冬の雲海が美しいと言われます。雲海と山々の景色は、墨絵のように見えます。
４、「温泉」
　　黄山には多くの温泉が湧き、約42℃ほどの温度は、入っても好し、また飲んでもよいとされます。